NPO若手人材育成と組織の継続性
しがNPOセンター 代表理事
阿部圭宏
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市民活動に関わって20年近くになった。自治体職員として仕事をしていく中で、たまたま出会った市民活動。仕事との関わりの中で市民活動に触れる中で、市民活動の持つ魅力に引きつけられたような気がする。僕の場合は、仕事の関係からスタートしているが、人によってさまざまな活動動機がある。また、その関わりも、ボランティアであったり、役員であったり、有給スタッフであったりと、千差万別である。
こうした動機如何によらず、有給スタッフやボランティア、あるいは役員として長くNPOに関わる人もいれば、諸事情によってNPOを離れていく人もいる。NPOのことを理解してくれているのに離れていかざるを得ない人を見ると本当に辛い。一方、NPOで働く若者の中には、そのNPOを将来背負っていく気概を持った者もいる。こうした若者をいかに育て伸ばしていくかは組織にとって大きな課題であるはずなのだが、残念ながらこうした次世代育成をあまり考えていないNPOの役員も多いのが事実だ。
確かに、NPOの運営は大変で、日々の活動を続けていくのは苦労が多く、とても中長期的な視点で考えられないというのも理解はできる。しかし、目先のことだけを考えるのは、雇われ社長が短期の利益を確保しようとしている姿とダブって見える。次世代のことを考えないNPOは、社会に評価されるようなことをしていても組織としては非常にまずい気がする。
組織の継続性は、後継者をいかに育てるかにかかっているように思われる。今月からスタートするしがNPOセンターの重点事業「NPO若人エンパワープロジェクト」には8名の若者が応募してくれた。定員5名で募集を始めたが、若者8人と所属するNPOの代表の方と直接話をした結果、全員を受け入れることとした。応募してくれた若者の心意気に期待をしたからだが、それにも増して、若者を送り出そうとするNPOの側に、組織のマネジメントを真剣に考える姿が見え心強さを感じたことが大きい。
「今どきの若者は」ということがよく言われるが、今どきの若者は実にいろいろ考えていて、そうした姿を実は大人も期待しているのである。
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