チャリティーイベントの難しさ
しがNPOセンター 代表理事
阿部圭宏
チャリティーコンサートやチャリティーランなど、身近なチャリティーを呼称するイベントが、日本でも定着してきている。
日本でチャリティー番組をうたう最大規模のイベントは、日本テレビ系の『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』であろう。感動を与えるという評価と裏腹に、多分にショー化しすぎているなどの批判もあるが、今回はそうした内容ではなく、お金のことを考えてみたい。
公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会(全国31社の放送事業者による組織)のホームページを見ると、24時間テレビでの今年の寄付金総額は8億8千万円を超えている。こうした寄付金は、24時間テレビチャリティー委員会が、経費を一切差し引くことなく全額、公益目的事業としての福祉・環境・災害復興の3分野の支援活動に活用するとされている。
寄付金は全額支援活動に使われているので問題はないのだが、少し気になることもある。テレビ番組なので制作費がかかるが、こうしたことは情報公開されていない。中には、出演者へのギャラはどうなっているのかを知りたいと思う人もいるだろう。少しでも役に立てばということで寄付をした人にとっては、例えば出演者にギャラが多く支払われていた場合には、何となく割り切れない気持ちになることもあるかもしれない。
チャリティーは、そもそも慈愛・博愛・同胞愛または慈善の精神に基づいて行われる公益的な活動・行為もしくはそれを行う組織のことだとされる。社会的な弱者に対する福祉的な支援活動、災害に対する支援活動などがよく知られたチャリティー活動であるが、社会に対する貢献全般がチャリティーであるとも言える。
こうしたチャリティーに係る費用は募金や寄付でまかなわれることが多いため、その運営には透明性が求められる。寄付した人が割り切れない気持ちになるのは、まさに情報がしっかりと公開されないことにある。
災害支援のための身近なチャリティーイベントをやっているある団体のホームページを見ると、イベントでの収益金で被災地の団体を継続的に支援している。例えば、コンサートの収益金を寄付したと書いているが、そのコンサートでは実際にどれだけの収入があり、経費がかかったのかがホームページを見ている限り分からない。出演しているアーティストはプロなのか、アマチュアなのかも含めて気になる。しかも、支援先の団体は、フェイスブックを通じて、自分たちの活動を報告しているものの、収支が明らかにされていないため、その団体にどれだけ寄付が集まっているのかも皆目分からない。
寄付は、寄付してくれる方にどれだけ共感していただけるかによっていると言っても過言ではない。寄付した人に少しでも疑念や不安を与えるようでは、寄付を受けたり、チャリティー活動を主催する資格がないのではないか。自分たちの活動、会計、組織運営をしっかりと見てもらうことに努力していくようになりたいものだ。
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