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2015年03月05日

指定管理者制度と地域のまちづくり拠点

           しがNPOセンター 代表理事
                                 阿部圭宏    

 TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが指定管理者となっている武雄市図書館は、これまでにない図書館と注目され視察者が後を絶たないそうだ。ただ、その成果や指定管理導入に関しては賛否両論ある。筆者も来場者が増えたことをもって成功と評価するのは、いかにも短絡だと思う。

 ここで問題となっている指定管理者制度は、「公の施設」の管理方法として、小泉内閣時代の2003年9月に「官から民へ」という号令のもとで導入され、2006年4月から本格実施された。その意をくんでか、自治体の指定管理の担当は、行政改革担当部署が多く、指定管理導入を施設管理の効率化という面から、経費縮減に重点を置くものが多かった。

 ただ、こうした方向性に舵を切ってきた総務省も「安かろう悪かろう」が横行し、本来の「公の施設」の運営になっていないとの反省を見せ、単なる価格競争ではなく、公共サービスの水準の確保を満たすように軌道修正をしている。

 指定管理にすればよい、すべてが解決するというものでもなく、経営困難に陥って指定管理を返上したり、不正事件が起きて指定を取り消されたりしているケースもある。また、施設の老朽化、合併による統合・廃止、民間への譲渡などの理由で、施設そのものがなくなった事例も多い。

 本来、「公の施設」は自治体、ひいては住民の大切な財産であり、これを施設の設置目的に立ち返っての有効活用、あるいは、使用目的を変更して新たな施設として活用していくなどの工夫が必要と思われるが、なかなかここまで施設管理をしっかりと考える自治体もまだまだ少ない。

  「公の施設」は多種多様であり、これらに同一基準で指定管理者制度を運用していくには無理がある。駐車場・駐輪場、体育館、公民館、図書館、保育所、博物館、老人福祉施設など、分野、規模、管理業務の内容など、施設ごとに全く違うといってよい。たとえば駐輪場のような施設であれば、安全確実な管理をやってもらえればよいが、博物館となると、専門性やノウハウが要求される。また、民間企業が入ってくることが望ましいし施設もあれば、地域団体やNPOに任せたほうがよい施設もある。

 こうした施設の性格を考慮しながら施設の管理にふさわしい団体を選び出すことは難しいが、たちまち、地域にある公民館やコミュニティセンターをまちづくり協議会のような地域団体に管理運営を任せることは意義がある。住民自らが自らの財産を管理するとともに、まちづくり拠点として活用していくことは、まさに、公共的な意味合いが大きい。滋賀県内でも一部こうした指定管理が行われているが、これが広がることで、指定管理のプラス面が出てくる。公民館・コミュニティセンターの指定管理を積極的に進めてほしい。



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Posted by しがNPOセンター at 14:25 │シリーズ【阿部コラム】