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2015年11月04日

負の連鎖を断ち切る

           しがNPOセンター 代表理事
                                 阿部圭宏

 安倍政権が強行突破した安保法制が成立したのが、9月19日未明。これ以降、予想どおり、安保法制に関するマスコミ報道はほとんどなくなり、政権関係者はほくそ笑んでいることだろう。法案審議の過程で、実に憲法学者の9割が憲法違反だということが報道されるに至り、「立憲主義」「法の支配」の否定とも呼ぶべき事態が広く認識されるようになった。こうした憲法違反だという正論に対し、政府与党側では、最高裁の砂川判決を根拠にするという訳の分からない方便を出してきたり、「憲法学者は政治の現実を知らない」ということで強行突破しようとする人たちが相次いだ。

 「法の支配」は、権力を法で拘束することで国民の権利・自由を保障することであり、憲法が公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範であるとする立憲主義のもととなっている。いずれも、国家を運営するための根本原理であり、これは多数派がいくら頑張っても覆せるものではない。

 選挙で選ばれた多数派が何でも法律をつくれるという無理解、ゴリ押しは、何も国政だけのことではない。最近、さいたま市議会で起こった問題は、まさに多数派の横暴と呼べるものである。さいたま市市民活動サポートセンターは、NPO法人さいたまNPOセンターが指定管理者として運営している施設であるが、一部の団体が政治的な目的で利用していることを理由に、指定管理者による運営を停止して、一時的に市の直営にするとした条例案が可決された。同センターは、協働型として評価の高い運営を行ってきた。施設利用にあたって、登録制をとっており、今回、約1700の登録団体のうちの14団体が、「政治活動」を行う団体と名指しされ今回の議決に至った。

 ここには、市民活動は政治的な動きをしてはならないという誤解がある。市民活動が地域や社会の課題を解決するために行われるものであれば、当然、そこに政治的な争点も含まれる。同センターの条例には、「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを目的とする活動」は除外しているものの、「政治上の施策の推進」=政治によって実現しようとする具体的な方策は除外されていない。このことからも、議員が「うるさく言う奴は排除してしまえ」と言わんばかりの勢いで条例化まで持っていってしまったという驕りがあると思われる。まさに、これも多数派の横暴である。

 このまま黙っていては、ますます多数派は増長する。憲法の原則である国民主権が破壊され、その次には、身近な生活の場である自治体が破壊される。こうした負の連鎖を断ち切るためには、主権者たる市民が自ら民主主義を守ろうと声をあげる必要がある。



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Posted by しがNPOセンター at 12:14 │シリーズ【阿部コラム】