2019年10月01日
新しいサイトを開設しました
しがNPOセンターの新しいサイトを開設しました。
これからは、新しい情報は新しいサイトに公開しますので、リンクをしてくださっている方は、よろしければリンクの修正をお願いします。
https://shiganpo.wixsite.com/website-1
これからは、新しい情報は新しいサイトに公開しますので、リンクをしてくださっている方は、よろしければリンクの修正をお願いします。
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2019年10月01日
大津市は大丈夫か!
しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏
大津市が9月議会に提出していた公民館をまちづくりの拠点となるコミュニティセンターに変更する条例案を撤回し、内容を見直した新案を再提出するという。
市内36カ所の市民センターに併設された公民館をまちづくり拠点としてコミュニティセンターに転換するというという仕組みは、すでに草津市や東近江市でも行われているもので、地域に設置されたまちづくり協議会を指定管理者として運営している。必ずしも運営がすべてうまくいっているというものではないが、まちづくり協議会という仕組みが地域に根付くためのベースとなっているのは確かだ。
大津市が進めようとしているコミュニティセンターへの移行は、まちづくり協議会への指定管理が前提であることから、本来、学区すべてにまちづくり協議会ができてから行うべきものだ。しかし現状では、協議会そのものはまだ1つもできておらず、準備委員会ができているのもわずか7学区という惨憺たるものだ。
本当にまちづくり協議会をつくることの重要性が、市民にしっかり説明されているのだろうか。市としては、説明しているということなのかもしれないが、多くの市民には、なぜ必要なのか、どのようにつくるべきか、運営はどうするのかなどが見えていないのである。筆者も草津市や東近江市のまちづくり協議会立ち上げにあたり、説明会、ワークショップなどの開催にも関わってきたことから、市民の理解を進めるためにも、説明をていねいに行うことの大切さを実感している。
大津市長が行財政改革の推進という視点から一方的にコミュニティセンター化を進め、安く地域で運営してもらおうとする考え方は、市長の新自由主義者たる姿勢を如実に表している。一律のコミュニティセンター化が議会で否決される雰囲気になると、学区ごとに設置できる時期を決められるものに修正して議案を再提出するというのも、いかにも地域自治をバカにした考え方に思われる。
もし、修正案が議会を通れば、どういう状況が想定されるか。一部では、まちづくり協議会ができ指定管理が始まるだろうが、安い指定管理料が地域の不満を増大させ、地域でのまちづくりが推進されるかは先が見えない。一方、永久にまちづくり協議会が立ち上がらない地域がかなり残るのではないか。そうなると、その地域は切り捨てられてしまうだろう。まさか、こんな案に賛成する議員がいるのだろうか。
5月のコラム「大津市の支所統廃合とまちづくりの課題」でも指摘したとおり、地域自治の仕組みがしっかりと地域に根付くには、順番を間違うとうまくいかない。
まずは、この2年間で、すべての学区にまちづくり協議会を立ち上げてもらって、市として一定の活動費を渡すということに専念すべきだろう。それをベースに、コミュニティセンター化をして、まちづくり協議会を指定管理者になってもらう。その場合、地域のまちづくりを担うべきコミュニティセンターのスタッフには、しっかりとした給与を出せるような指定管理料の設定でなければならない。
このままの強行は失敗する。地域自治推進の原点に立ち返り、市民も議会も行政も知恵を出し合って取り組むしかない。
代表理事 阿部 圭宏
大津市が9月議会に提出していた公民館をまちづくりの拠点となるコミュニティセンターに変更する条例案を撤回し、内容を見直した新案を再提出するという。
市内36カ所の市民センターに併設された公民館をまちづくり拠点としてコミュニティセンターに転換するというという仕組みは、すでに草津市や東近江市でも行われているもので、地域に設置されたまちづくり協議会を指定管理者として運営している。必ずしも運営がすべてうまくいっているというものではないが、まちづくり協議会という仕組みが地域に根付くためのベースとなっているのは確かだ。
大津市が進めようとしているコミュニティセンターへの移行は、まちづくり協議会への指定管理が前提であることから、本来、学区すべてにまちづくり協議会ができてから行うべきものだ。しかし現状では、協議会そのものはまだ1つもできておらず、準備委員会ができているのもわずか7学区という惨憺たるものだ。
本当にまちづくり協議会をつくることの重要性が、市民にしっかり説明されているのだろうか。市としては、説明しているということなのかもしれないが、多くの市民には、なぜ必要なのか、どのようにつくるべきか、運営はどうするのかなどが見えていないのである。筆者も草津市や東近江市のまちづくり協議会立ち上げにあたり、説明会、ワークショップなどの開催にも関わってきたことから、市民の理解を進めるためにも、説明をていねいに行うことの大切さを実感している。
大津市長が行財政改革の推進という視点から一方的にコミュニティセンター化を進め、安く地域で運営してもらおうとする考え方は、市長の新自由主義者たる姿勢を如実に表している。一律のコミュニティセンター化が議会で否決される雰囲気になると、学区ごとに設置できる時期を決められるものに修正して議案を再提出するというのも、いかにも地域自治をバカにした考え方に思われる。
もし、修正案が議会を通れば、どういう状況が想定されるか。一部では、まちづくり協議会ができ指定管理が始まるだろうが、安い指定管理料が地域の不満を増大させ、地域でのまちづくりが推進されるかは先が見えない。一方、永久にまちづくり協議会が立ち上がらない地域がかなり残るのではないか。そうなると、その地域は切り捨てられてしまうだろう。まさか、こんな案に賛成する議員がいるのだろうか。
5月のコラム「大津市の支所統廃合とまちづくりの課題」でも指摘したとおり、地域自治の仕組みがしっかりと地域に根付くには、順番を間違うとうまくいかない。
まずは、この2年間で、すべての学区にまちづくり協議会を立ち上げてもらって、市として一定の活動費を渡すということに専念すべきだろう。それをベースに、コミュニティセンター化をして、まちづくり協議会を指定管理者になってもらう。その場合、地域のまちづくりを担うべきコミュニティセンターのスタッフには、しっかりとした給与を出せるような指定管理料の設定でなければならない。
このままの強行は失敗する。地域自治推進の原点に立ち返り、市民も議会も行政も知恵を出し合って取り組むしかない。
Posted by しがNPOセンター at
09:30
│シリーズ【阿部コラム】
2019年09月20日
2019年「ちば台風15号支援基金」への募金を開始します
2019年9月、台風15号によって関東周辺に広範囲に渡る被害があり、未だに被害の全貌も把握されていない状況です。被災地の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
現地ではボランティアの皆さまが支援活動に取り組んでいます。
そこで、しがNPOセンターでは、9月19日から10月末日まで寄付を募り全額被災地支援に使います。
募金先は公益財団法人ちばのWA地域づくり基金「ちば台風15号支援基金」です。もちろん、直接募金してくださっても問題ありません!
義援金(被災された方へ渡るお金)ではなく、被災地を支援する活動を支えるお金です。例えば現地のボランティア活動やボランティアセンターへの人員派遣などが想定されます。
義援金は集まってから被災された方へ渡るまでが時間がかかってしまいますが、支援金は現地のさまざまな活動に使われるので、被災された方の暮らしにすぐ役立ててもらえるという特徴があります。
追記(10月2日)
9月末日までに集まったお金は19,120円でした。ありがとうございました。
早く役立ててほしいという気持ちから一旦ここで締め、公益財団法人ちばのWA地域づくり基金「ちば台風15号支援基金」に送金しました。
引き続き10月末日まで募金を行っています。
●募金方法
■インターネットによるオンライン寄付
▼災害支援寄付の都度寄付
■ゆうちょ銀行振替口座へのお振込み
番号:00950-5-171399
名称:しがNPOセンター
※ 通信欄に「災害支援」とご記入ください。
■銀行口座へのお振込み
・滋賀銀行
本店営業部 普通 474634
名義:特定非営利活動法人しがNPOセンター
トクヒ)シガエヌピーオーセンター
・近畿ろうきん
大津支店(店番号542)
普通(一般口座)2753387
口座名 特定非営利活動法人しがNPOセンター
※ ただし銀行へのお振込の場合は、ご本人様確認ができませんので、eメールまたはお電話で、お名前、ご住所をお知らせください。
TEL:0748-34-4033
eメール:shiga.npo@gmail.com
現地ではボランティアの皆さまが支援活動に取り組んでいます。
そこで、しがNPOセンターでは、9月19日から10月末日まで寄付を募り全額被災地支援に使います。
募金先は公益財団法人ちばのWA地域づくり基金「ちば台風15号支援基金」です。もちろん、直接募金してくださっても問題ありません!
義援金(被災された方へ渡るお金)ではなく、被災地を支援する活動を支えるお金です。例えば現地のボランティア活動やボランティアセンターへの人員派遣などが想定されます。
義援金は集まってから被災された方へ渡るまでが時間がかかってしまいますが、支援金は現地のさまざまな活動に使われるので、被災された方の暮らしにすぐ役立ててもらえるという特徴があります。
追記(10月2日)
9月末日までに集まったお金は19,120円でした。ありがとうございました。
早く役立ててほしいという気持ちから一旦ここで締め、公益財団法人ちばのWA地域づくり基金「ちば台風15号支援基金」に送金しました。
引き続き10月末日まで募金を行っています。
●募金方法
■インターネットによるオンライン寄付
▼災害支援寄付の都度寄付
■ゆうちょ銀行振替口座へのお振込み
番号:00950-5-171399
名称:しがNPOセンター
※ 通信欄に「災害支援」とご記入ください。
■銀行口座へのお振込み
・滋賀銀行
本店営業部 普通 474634
名義:特定非営利活動法人しがNPOセンター
トクヒ)シガエヌピーオーセンター
・近畿ろうきん
大津支店(店番号542)
普通(一般口座)2753387
口座名 特定非営利活動法人しがNPOセンター
※ ただし銀行へのお振込の場合は、ご本人様確認ができませんので、eメールまたはお電話で、お名前、ご住所をお知らせください。
TEL:0748-34-4033
eメール:shiga.npo@gmail.com
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11:36
│災害支援市民ネットワークしが
2019年09月11日
災害支援市民ネットワークしが 第2回研究会「マンションの防災を考える」のお知らせ
「マンションの防災を考える」
マンションは、一般的に耐震性・耐火性・保安性に優れた建物ですが、一方で特有の課題が潜んでいると言われています。また、コミュニティの希薄化も気になるところです。今回は、マンションでの防災、減災について、ゲストを交えて一緒に考えましょう。
※この研究会は無事終了しました。ご参加のみなさまありがとうございました!※
日程:2019年10月16日(水)13:30~16:30
ゲスト:NPO法人 しがいち防災研究所 理事長 岩佐卓實さん
マンション防災委員会 代表 江藤沙織さん
場 所:草津市立市民交流プラザ小会議室
(滋賀県草津市野路一丁目15番5号 フェリエ南草津5階)
参加費:500円(資料代)
定 員:30名・要申込
■災害支援市民ネットワークしがとは
滋賀における市民の災害対応力を高めるため、行政や社会福祉協議会等、さまざまな団体と連携し2013年4月に発足しました。 災害に対して普段からの活動を大切にしたいという思いから、年に数回こうした研究会を行っています。ネットワークに加入されていなくても、ご参加いただけます。 事務局は、認定特定非営利活動法人 しがNPOセンターが担っています。 住所:〒523-0893近江八幡市桜宮町207-3 K&Sビル3F ホームページ: http://shiganpo922.shiga-saku.net
■草津市立市民交流プラザ
住所:滋賀県草津市西大路町9−6電話:077-562-9240
アクセス:JR琵琶湖線南草津駅東口すぐ
フェリエ南草津5階
*自動車駐車チケット(黄色)を市民交流プラザ事務書窓口までお持ちください。(4時間無料)
*自転車駐輪券(黄色のカード)を市民交流プラザ事務所窓口までお持ちください。(1日無料券)
※この研究会は無事終了しました。ご参加のみなさまありがとうございました!※
■オンライン申込フォームはこちら ↓↓↓ QRコードは、スクロールして一番下にあります。
↓↓↓ スマホからはこちらから!
マンションは、一般的に耐震性・耐火性・保安性に優れた建物ですが、一方で特有の課題が潜んでいると言われています。また、コミュニティの希薄化も気になるところです。今回は、マンションでの防災、減災について、ゲストを交えて一緒に考えましょう。
※この研究会は無事終了しました。ご参加のみなさまありがとうございました!※
日程:2019年10月16日(水)13:30~16:30
ゲスト:NPO法人 しがいち防災研究所 理事長 岩佐卓實さん
マンション防災委員会 代表 江藤沙織さん
場 所:草津市立市民交流プラザ小会議室
(滋賀県草津市野路一丁目15番5号 フェリエ南草津5階)
参加費:500円(資料代)
定 員:30名・要申込
■災害支援市民ネットワークしがとは
滋賀における市民の災害対応力を高めるため、行政や社会福祉協議会等、さまざまな団体と連携し2013年4月に発足しました。 災害に対して普段からの活動を大切にしたいという思いから、年に数回こうした研究会を行っています。ネットワークに加入されていなくても、ご参加いただけます。 事務局は、認定特定非営利活動法人 しがNPOセンターが担っています。 住所:〒523-0893近江八幡市桜宮町207-3 K&Sビル3F ホームページ: http://shiganpo922.shiga-saku.net
■草津市立市民交流プラザ
住所:滋賀県草津市西大路町9−6電話:077-562-9240
アクセス:JR琵琶湖線南草津駅東口すぐ
フェリエ南草津5階
*自動車駐車チケット(黄色)を市民交流プラザ事務書窓口までお持ちください。(4時間無料)
*自転車駐輪券(黄色のカード)を市民交流プラザ事務所窓口までお持ちください。(1日無料券)
※この研究会は無事終了しました。ご参加のみなさまありがとうございました!※
■オンライン申込フォームはこちら ↓↓↓ QRコードは、スクロールして一番下にあります。
↓↓↓ スマホからはこちらから!
Posted by しがNPOセンター at
10:55
│災害支援市民ネットワークしが
2019年09月01日
隣国と仲良くするには
しがNPOセンター
代表理事 阿部 圭宏
「韓国という病」「韓国も肩を持つ反日日本人」「NO韓国~絶縁宣言!」という右派月刊誌のどぎつい見出し。書店へ行けば、もっと露骨な嫌韓本が平積みになっていたりもする。テレビでは、ほぼ韓国が悪いという視点での番組が多くを占め、新聞でも日韓関係の悪化は韓国側の問題が多いとする報道が多い。最近では、地上波でヘイト発言をするコメンテーターまで出てくる始末だ。7月の朝日新聞の世論調査では、韓国への輸出規制強化を妥当とする意見は56%となっていて、連日の韓国へのバッシング報道が大きく影響をしていると思われる。
韓国への輸出規制強化は、参議院選挙に合わせて打ち出された。その理由は韓国の安全保障上の問題とされたが、その具体的な事案は示されていない。経産大臣は元徴用工問題での対応が信頼を損なわせたとツイッターで理由の一つに挙げているが、政府は公式には徴用工問題とは別だと強弁している。輸出規制は負の連鎖を生み、韓国のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄まで至り、お互いに後戻りができないかのように両国の関係は最悪となっている。
そもそも徴用工問題は、第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題で、この間複雑な経過をたどってきた。
1965年の日韓請求権協定では、韓国側の請求権は消滅していて、「完全かつ最終的に解決された」とされているが、日本政府は厳格な意味での個人の請求権が消滅したとするものではないという立場をとってきた。それは、戦後補償の中で、その場その場での詭弁を弄してきた結果でもある。90年代には戦後補償を求める動きが活発化したが、請求は全て棄却され、政府の主張を裁判できない「救済なき権利」と主張する政府の見解を最高裁も追認してきた。
韓国の大法院判決は、日韓請求権協定は植民地支配に対する賠償を請求するためのものではなかったと断じ、個人請求権のみならず、外交保護権も消滅していないという判断になっている。日本政府は、従来の見解の元に、国際法違反であり、そうした司法判断は韓国国内で解決すべきと言っている。日本の新聞の論調も保守、リベラル問わず、ほぼ同意見である。
一方、判決に対して、弁護士有志による「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」が出されている。徴用工の問題の本質は人権問題なので被害者や社会が納得できる解決策が必要であり、個人請求権は消滅していないのだから、日韓両政府と企業が真摯に向き合って解決に向けて努力すべきと述べている。
テレビでは、徴用工が人権問題なのだということは一切触れられずに、ひたすら韓国は変な国だということを煽っている。こうした煽りに惑わされずに、われわれは冷静に対応すべきとだと思う。政治の不信だけでなく、その影響は市民生活や民間交流にも及んでいる。官房長官は、「日韓関係が困難な状況にあっても民間交流やスポーツ交流はしっかり続けるべき」と記者会見で言ったそうだが、ここは、民間交流やスポーツ交流がしっかりできるように政治家はしっかり仕事をしろと言いたい。
代表理事 阿部 圭宏
「韓国という病」「韓国も肩を持つ反日日本人」「NO韓国~絶縁宣言!」という右派月刊誌のどぎつい見出し。書店へ行けば、もっと露骨な嫌韓本が平積みになっていたりもする。テレビでは、ほぼ韓国が悪いという視点での番組が多くを占め、新聞でも日韓関係の悪化は韓国側の問題が多いとする報道が多い。最近では、地上波でヘイト発言をするコメンテーターまで出てくる始末だ。7月の朝日新聞の世論調査では、韓国への輸出規制強化を妥当とする意見は56%となっていて、連日の韓国へのバッシング報道が大きく影響をしていると思われる。
韓国への輸出規制強化は、参議院選挙に合わせて打ち出された。その理由は韓国の安全保障上の問題とされたが、その具体的な事案は示されていない。経産大臣は元徴用工問題での対応が信頼を損なわせたとツイッターで理由の一つに挙げているが、政府は公式には徴用工問題とは別だと強弁している。輸出規制は負の連鎖を生み、韓国のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄まで至り、お互いに後戻りができないかのように両国の関係は最悪となっている。
そもそも徴用工問題は、第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題で、この間複雑な経過をたどってきた。
1965年の日韓請求権協定では、韓国側の請求権は消滅していて、「完全かつ最終的に解決された」とされているが、日本政府は厳格な意味での個人の請求権が消滅したとするものではないという立場をとってきた。それは、戦後補償の中で、その場その場での詭弁を弄してきた結果でもある。90年代には戦後補償を求める動きが活発化したが、請求は全て棄却され、政府の主張を裁判できない「救済なき権利」と主張する政府の見解を最高裁も追認してきた。
韓国の大法院判決は、日韓請求権協定は植民地支配に対する賠償を請求するためのものではなかったと断じ、個人請求権のみならず、外交保護権も消滅していないという判断になっている。日本政府は、従来の見解の元に、国際法違反であり、そうした司法判断は韓国国内で解決すべきと言っている。日本の新聞の論調も保守、リベラル問わず、ほぼ同意見である。
一方、判決に対して、弁護士有志による「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」が出されている。徴用工の問題の本質は人権問題なので被害者や社会が納得できる解決策が必要であり、個人請求権は消滅していないのだから、日韓両政府と企業が真摯に向き合って解決に向けて努力すべきと述べている。
テレビでは、徴用工が人権問題なのだということは一切触れられずに、ひたすら韓国は変な国だということを煽っている。こうした煽りに惑わされずに、われわれは冷静に対応すべきとだと思う。政治の不信だけでなく、その影響は市民生活や民間交流にも及んでいる。官房長官は、「日韓関係が困難な状況にあっても民間交流やスポーツ交流はしっかり続けるべき」と記者会見で言ったそうだが、ここは、民間交流やスポーツ交流がしっかりできるように政治家はしっかり仕事をしろと言いたい。
Posted by しがNPOセンター at
10:15
│シリーズ【阿部コラム】