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2019年09月01日

隣国と仲良くするには

           しがNPOセンター
                     代表理事 阿部 圭宏


 「韓国という病」「韓国も肩を持つ反日日本人」「NO韓国~絶縁宣言!」という右派月刊誌のどぎつい見出し。書店へ行けば、もっと露骨な嫌韓本が平積みになっていたりもする。テレビでは、ほぼ韓国が悪いという視点での番組が多くを占め、新聞でも日韓関係の悪化は韓国側の問題が多いとする報道が多い。最近では、地上波でヘイト発言をするコメンテーターまで出てくる始末だ。7月の朝日新聞の世論調査では、韓国への輸出規制強化を妥当とする意見は56%となっていて、連日の韓国へのバッシング報道が大きく影響をしていると思われる。

 韓国への輸出規制強化は、参議院選挙に合わせて打ち出された。その理由は韓国の安全保障上の問題とされたが、その具体的な事案は示されていない。経産大臣は元徴用工問題での対応が信頼を損なわせたとツイッターで理由の一つに挙げているが、政府は公式には徴用工問題とは別だと強弁している。輸出規制は負の連鎖を生み、韓国のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄まで至り、お互いに後戻りができないかのように両国の関係は最悪となっている。

 そもそも徴用工問題は、第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題で、この間複雑な経過をたどってきた。

 1965年の日韓請求権協定では、韓国側の請求権は消滅していて、「完全かつ最終的に解決された」とされているが、日本政府は厳格な意味での個人の請求権が消滅したとするものではないという立場をとってきた。それは、戦後補償の中で、その場その場での詭弁を弄してきた結果でもある。90年代には戦後補償を求める動きが活発化したが、請求は全て棄却され、政府の主張を裁判できない「救済なき権利」と主張する政府の見解を最高裁も追認してきた。

 韓国の大法院判決は、日韓請求権協定は植民地支配に対する賠償を請求するためのものではなかったと断じ、個人請求権のみならず、外交保護権も消滅していないという判断になっている。日本政府は、従来の見解の元に、国際法違反であり、そうした司法判断は韓国国内で解決すべきと言っている。日本の新聞の論調も保守、リベラル問わず、ほぼ同意見である。

 一方、判決に対して、弁護士有志による「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」が出されている。徴用工の問題の本質は人権問題なので被害者や社会が納得できる解決策が必要であり、個人請求権は消滅していないのだから、日韓両政府と企業が真摯に向き合って解決に向けて努力すべきと述べている。

 テレビでは、徴用工が人権問題なのだということは一切触れられずに、ひたすら韓国は変な国だということを煽っている。こうした煽りに惑わされずに、われわれは冷静に対応すべきとだと思う。政治の不信だけでなく、その影響は市民生活や民間交流にも及んでいる。官房長官は、「日韓関係が困難な状況にあっても民間交流やスポーツ交流はしっかり続けるべき」と記者会見で言ったそうだが、ここは、民間交流やスポーツ交流がしっかりできるように政治家はしっかり仕事をしろと言いたい。


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Posted by しがNPOセンター at 10:15 │シリーズ【阿部コラム】