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2014年04月01日

地方議会のあり方

           しがNPOセンター 代表理事
                                 阿部圭宏
  ==========

 政治への関心は、政権交代が叫ばれていたころと比較すると、急速に低下している。それは投票率にも如実に表れている。国政では、政権が掲げる政策を判断し、投票行動が行われ、多数党が与党を形成し政権を担うというのが建前だ。ただ、実際は政策そのものが判断材料にされることは少ないにも関わらず、政権与党は正鵠を射たかのように自ら主張する政策を推進しようとする。国会という場での議論による政策化を重視せず、数の論理を押し通し、時には暴走する。こうした政策決定の場面に市民の参加は行われず、国政に対する不満はますます高まる。

 一方、地方自治に市民が関わることは、身近な問題であるが故に、ある面で国政以上に重要である。地方自治では、首長と議員はそれぞれ別の選挙で選ばれる。二元代表制と呼ばれるこの制度では、首長と議会それぞれが競いながら政策をつくり、相互にチェックする仕組みだと言える。しかし現実は、首長から提出される議案に対して、首長を支持するかしないかで、与党会派と野党会派が組織されるケースが圧倒的に多い。首長は与党会派への根回しを行い、その結果で物事が決まっていく。

 では、そもそも地方議会の役割とは何か。地方議会は、憲法上、議事機関として位置づけられ、その主な機能として、代表機能、意見集約機能、監視と抑制の機能が挙げられるが、これまでから首長が提案する政策をチェックすること、すなわち監視と抑制がその大きな機能とされてきた。その結果、議会が立法機関として機能してこなかった。また、議会運営が形骸化しているという批判もなされてきた。こうした批判に応える形で、議会改革に取り組む地方議会が増えてきた。この傾向は非常に喜ばしいが、議会改革は議員、議会自らが取り組まなければならないことから、議員や会派間での意見調整が難しい。鳴り物入りで始まった議会改革が、ほとんど成果を得られないこともよくある話だ。通年議会、一問一答方式、議員間の討議、議決事件の拡大、議員立法、議会報告会の開催などに取り組むことで、これまでの議会に対する市民の反応も変わってくるはずだが、なかなか事はそう簡単ではない。

 もう一言加えれば、議会に新たな仕組みを取り入れても、議会活性化、議会改革はこれだけでは十分でない。議員個人がカバーできる範囲は限界があるし、会派が政策スタッフを抱えることもほとんどないので、思いつきの提案をしても首長や補助機関たる職員に簡単に論破されてしまう。会派や議員に交付される政務調査費は、議会や議員の政策立案に資するための費用だが、実際は自治体により異なるものの、概ね、議員活動の範囲に関係する書籍等の購入費用、民間主催の議員研修会参加費用だけでなく、先進地視察費用、事務所費用などにも使われている。住民監査請求や住民訴訟で返還命令が出ることもあり、制度には根源的な問題がると言わざるを得ない。

 そこで、政務調査費をもっと有効活用できないかというのがここでの提案である。政務調査費を活用して、政策スタッフを雇用したり、専門的な調査を外部に委託するなどに取り組まれている事例も少しはあるが、これが一般化すれば、格段に議会の政策立案機能が高まる。市民と行政との協働が進む中で、市民と議会との協働も必要である。旧態依然たる議会運営が続くことになれば、議会とばし、議会不要論がますます叫ばれ、民主主義に逆行するように、リーダー首長への期待が高まるという何とも皮肉な結果になりかねない。



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Posted by しがNPOセンター at 14:08 │シリーズ【阿部コラム】