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2016年08月03日

相模原障害者殺傷事件に思う

           しがNPOセンター 代表理事
                                 阿部圭宏

 相模原市の障害者施設で起こった殺傷事件は、19人の尊い命が奪われ、日本社会に大きな衝撃を与えた。今後、その動機や背景などが明らかにされるだろうが、現時点では「障害者がいなくなればいい」といったことが動機とされ、特に重度の障害の方がターゲットにされたという報道も出ている。典型的なヘイトクライム(憎悪犯罪)だという見方もある。

 障害者への差別は一向になくならない。こうした差別は、何も障害者だけでなく、在日外国人、性的マイノリティ、女性蔑視、部落問題など多岐にわたっており、重要な人権侵害だと言える。実態としての人権がなかなか守られてはいないが、人間が生まれながらにして持っているこの権利を社会が守っていくという考えのもとに現代社会が成り立っているのは否定しがたい事実である。
 
 障害福祉の父と言われた糸賀一雄は、戦災孤児や知的障害児と向き合い近江学園を設立した。「この子らを世の光に」という糸賀の言葉は、「この子らに世の光を」ではなく、主体を子ども達に置き、子ども達の存在そのものから世の中を明るくする光がでるという考え方を社会に問うたものだ。糸賀の言葉や実戦で、異質の光をしっかりと見つめる人が次第に多くなり、今の障害者福祉の基礎ができてきたと言えるだろう。こうした糸賀の思想に立ち返ることは、今回の事件を考える上でも意義深い。

 憲法第97条では、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と規定されている。こうした憲法の根本原理である基本的人権は、糸賀の思想や実践、それに続く多くの人の努力により積み重ねられてきた。

 最後に、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、負傷された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、今回の事件を教訓として、政府が人権を守る姿勢を明確にして、共生する社会づくりが行われることを切に願う。




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Posted by しがNPOセンター at 12:45 │シリーズ【阿部コラム】