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2019年01月04日

協働型社会の創造に向けて



 2019年の新春を迎え、本コラムへのご愛顧を引き続きよろしくお願いします。
                     代表理事 阿部圭宏

 昨年末に閣議決定された国の2019年度当初予算案は、初めて100兆円を超えたという報道がされ、どれだけ大盤振る舞いされているのかと感じる人も多いだろう。ただ、実態はそのような単純な話ではなく、消費税増税分を見込んでの税収アップがあるものの、景気落ち込み分への対策費の増加や過去最高の防衛費、幼保の無償化、社会保障費の自然増などが総額を押し上げている。

 国及び地方が抱える長期債務は巨額で、本年度末で国が915兆円、地方が192兆円、あわせて1,107兆円という見込みである。この巨額債務について危機感を持つ人と楽観的な見方をする人とがが相半ばするが、国の先を見ない予算の組み方と反比例するかのような地方の疲弊ぶりがある。

 地方分権が進む中で、各地で合併が促進された。財政的な余裕がない自治体にとって、市町村合併は生き延びるための命綱のような希望を抱かせた。合併優遇策として、合併特例債の発行、地方交付税の合併算定替などの制度が整えられ、小泉政権下における三位一体改革での地方交付税削減が合併の後押しをすることとなった。この間の地方自治体は、合併の動きとともに、行財政改革の流れの中にあったとも言える。財源不足を補うために、職員数を削減し、ムダを省くという視点からのサービスの縮小などが行われきた。

 地方の行財政改革の中でのキーワードは「協働」である。滋賀県の行財政改革方針、行政経営方針を見ると、「協働型社会」「多様な主体との協働・連携」という言葉が並ぶ。大津市のように、小さな政府を目指す効率化一辺倒という考え方も一部ではあるものの、多くの自治体では、少なくとも行財政改革、行政経営の方針に協働の視点を取り入れている。

 協働という言葉は、1999年3月に「横浜市における市民活動との協働に関する基本方針」(「横浜コード」と呼ばれることが多い)で示されて以来、行政、特に自治体で流行する。最初は、市民活動推進方策の中で取り扱われてきた協働は、地域自治組織やコミュニティとの関係でも位置付けられるようになり、行財政改革でも主要な位置を占めるようになった。これは、協働が普遍化したことの表われだろう。

 とは言うものの、市民活動団体や地域自治組織と行政との協働は必ずしもうまくいっているとは言えないし、行財政改革の中での協働は、単なる安上がり、下請けという位置付けから脱却できていない。協働は行政の中では定着していないという見方もできる。

 これからますます自治体の財政状況は厳しさを増す。協働という言葉だけの綺麗事では済まされない。自治体が何を目指すのか、市民とどのように向き合うのかが問われている。現在の国の統治構造や企業ガバナンスを見る限り、日本はもはや先進国と威張っている場合ではない。縮小社会のソフトランディングのためにも、せめて、地方自治体の運営は、協働型で進めることが必要だ。各地域からの様々な取組みを情報共有しながら、協働型社会を築き上げればと願いたい。


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Posted by しがNPOセンター at 09:00 │シリーズ【阿部コラム】