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2019年02月01日

公共施設をどう維持していくか

           しがNPOセンター
                     代表理事 阿部 圭宏


 国や自治体が維持管理している公共施設は、幅広く各分野に渡っている。社会インフラと言える道路、河川、ダム、橋梁、トンネル、上下水道施設などのほか、庁舎、学校、病院、福祉施設、公民館、図書館、ホールなど、その種類も数も膨大である。こうした公共施設は、老朽化、合併による利用形態の変化、人口減少などを背景として、その維持管理が大きな課題となっている。

 国では、大きな借金を抱えつつも、国土強靭化計画などに基づき、税金の投入が可能となっている。一方、自治体では「公共施設等総合管理計画」を策定して、その対策に取り組んでいるものの、その財政状況は厳しく、今後も試行錯誤が続く。

 社会的インフラの維持管理は、嫌が応にもやっていかないといけない。例えば、上下水道施設は自治体が運営するベーシックなサービスである。水道法の改正で、コンセッション方式による民営化が可能となった。いかにも民間に任せるとハッピーかのような話であるが、海外では民営化したことで水道料金が跳ね上がったり、結局、再公営化した事例が後を絶たないとの報告もある。

 もう一つの事例として、地方総合整備債を取り上げよう。1978年に自治体が単独で実施する公共施設の整備に充当する地方債として誕生し、自治体の自主的・主体的なまちづくりを後押しし、地域の総合的な整備を促進させる目的を持っていた。1984年度からは、国が元利償還金の一部を、後年度に地方交付税で措置するという仕組みが組み入れらた。国にツケ回しできることから、全国の自治体が競って活用するようになった。バブル崩壊後には、国の景気対策に連動し、地方にも大型の公共事業を推奨した。各地に文化ホール、体育館、公民館、美術館などの大規模施設が造られ、「ハコモノ行政」と批判を浴びた。こうした施設が、老朽化、人口減少、合併による影響を受け、まさに自治体に重くのしかかってきている。

 民営化によりすべてが解決するものでもなく、かと言って老朽化を放置というわけにもいかない。自治体が抱える公共施設をどうしていくかについては、実はあまり市民に知らされないまま決まってしまうことが多い。当然、役所側が説明会を開催し、用途変更、廃止、縮小などを行うのであるが、その時点ですでに方針は決まっていて、政策過程に関わることができないまま、結果だけを受け入れざるを得ないことへの不満が、反対運動などになったりするケースが多いように思われる。

 かつては、公共施設は市民の手で建設されてきたものが多い。京都の番組小学校は、明治明治2年、京都の町衆たちの手によって、当時の住民自治組織であった番組(町組)を単位として創設された小学校である。また、アニメ「けいおん」の聖地とされる豊郷小学校の旧校舎は、丸紅の専務取締役であった古川鉄治郎が私財を投げ打って建設した。大阪八百八橋は、その多くを町人が生活や商売のために架けた。滋賀にまだ残っている道普請・川普請という言葉は、もともと共同社会では住民が土木建築に協力従事することを指してきた。

 かつてのように、市民や民間に全てを肩代わりしてもらうことなどできないが、市民、民間の知恵を活用していくことも大切である。そのためには、行政が持っている情報をすべて市民に公開するとともに、市民との対話を進めていくことからしか始まらないように思われる。


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Posted by しがNPOセンター at 09:05 │シリーズ【阿部コラム】