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2013年09月02日

日本社会を見つめ直す視座

                      しがNPOセンター 代表理事
                        阿部圭宏

 何かモヤモヤする。その理由はと聞かれると一言では言い表しにくい。巷間よく言われる閉塞感というものかもしれない。多くの重要な問題が何の疑問も挟まれずに大量に大手マスコミを通じて流されることへの不信かもしれない。とにかく、政治や経済への不満は、限界値に達するほど大きくなっている。

 アベノミクスにもろ手を挙げての賛成大合唱、憲法の集団的安全保障の解釈変更議論、内容がよく分からないまま参加ありきで交渉の進むTPP交渉、収束するどころか汚染水漏れが続く福島第一原発、あれだけ格差社会と言われたのにまるで格差は解消されたような雰囲気の広がり。ここに取り上げたのはごく一部で、何かモヤモヤする現象は枚挙にいとまない。

 4年前の政権交代は社会の閉塞状況を打開してくれるのではないかという幻想を抱かせてくれたが、民主党政権の自壊後、自民党政権に戻ってみると、何ら変わっていない現状を見せつけられる。それにも関わらず、現政権は何ら反省もしないままのイケイケドンドンという状況である。

 政権の興奮度と反比例するように、モヤモヤ感は高まる。こういったときは、思考をやめるとか、あきらめるとかになりがちだが、こういうときだからこそ、諸問題に対して自分の意見をしっかりと持ちたい。社会を見つめ直す視座が必要なのだ。そうした視座を持つには自分で情報を収集し分析するとともに、議論する場の構築が求められる。ここでは自分の頭を整理する上でお奨めの本(新書)3冊を挙げておきたい。

 筒井清忠著「昭和戦前期の政党政治」(ちくま新書、2012年)は、あれだけ期待の高かった政党政治は見るも無残に崩壊し、軍部への支持が集まっていく昭和前期の政治過程を紐解いている。こうした政党政治の崩壊が、今の政治状況と似ているという話もあり、これからの政治を占う意味でも参考になる。

 中北浩爾著「現代日本の政党デモクラシー」(岩波新書、2012年)は、90年代の政治改革の流れが二大政党制という幻想をもたらし、オセロゲームのような選挙至上主義の競争デモクラシーを生み出してきた。これからの政治体制を考える上に示唆に富む。

 小熊英二著「社会を変えるには」(講談社現代新書、2012年)は、日本における社会運動の歴史を振り返りつつ、反原発デモがそうした運動と違って新しい形を生み出したと説く。こうした社会運動の可能性を探り、自ら動くことが社会を変えることにつながるという視点は新鮮だ。

 考えて議論するだけでなく、ローカルな現場での実践もお忘れなく。




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Posted by しがNPOセンター at 12:19 │シリーズ【阿部コラム】